LIPIは、インドネシア国営の最高統括研究組織であり、地球科学、生命科学、理工学、社会科学、人文科学などを網羅しています。特に世界第2位、アジア
第1位の生物遺伝子資源保有国を自負するインドネシアで、それらの利用法と利益の分配についての調査と研究分析をしており、同国科学事業と運営に直接提唱
できるポストにあります。
交流協定に至る経緯は、大学院理学研究科の近藤教授を中心に、総合科学部、教育学部の教授達がJICA等を通して植物系研究員を受け入れ、その
研究技術がインドネシアに持ち帰られ、そのうちの1名は帰国後LIPI直営植物園園長となるなど、成果を充実させており、LIPIが強く希望して、
JICAのバックアップの下、締結する運びとなったものです。
輸出国の合意なく国外で生物材料を採集して、研究開発することを禁止したカルタヘナ法が施行された後の生物科学分野での研究開発を進める上で、
交流協定は広島大学の研究者にとっても大きな恩恵を約束することになります。そして、一部ですでに個人的に小規模フィールド研究が進められている熱帯陸上
生物の大型プロジェクト化と人材資源の育成はもとより、海洋科学センター所属海洋探索船と広島大学生物生産学部附属練習船との共同事業による熱帯海洋資源
の探索、収集、利用化についての研究、薬用植物の二次代謝物質の分析と研究、世界の養鶏系統に含まれていないと分析されているインドネシア野鶏の研究と応
用、熱帯両生類の研究、島嶼の生物学、社会科学、人文科学、両国火山に関する研究など、数えればきりのない熱帯自然の営みと現象についての課題を中心とし
た共同研究を通して人的交流、育成、相互理解も確実なものとなることと思われます。
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